試用期間に仕事を辞めたいなら?スムーズに辞める方法と注意点まとめ!

試用期間-辞めたい

会社のなかには試用期間を設けているところが少なくありません。

入社したばかりで試用期間中だという人もいるでしょう。

ところが、実際に働き始めると「仕事内容が予想と違う」「職場の雰囲気が合わない」と感じてしまうことがありますよね。

ここでは、試用期間中に仕事を辞めるうえで知っておきたい手続きの方法や注意点について解説します。

そもそも試用期間ってどんなものなの?

試用期間と聞くと、お試し期間のようなものをイメージする人は多いのではないでしょうか。

一般的な商品やサービスのお試し期間の場合は、その期間が終わると契約が白紙に戻るのが普通ですよね。

お試し期間終了後に、実際に本契約をするかどうかが選べるのが一般的です。

ところが、会社が定めている試用期間は、これとはまったく違います。

試用期間は、長期的な雇用を前提に設定されているもので、試用期間中も雇用契約が正式に結ばれた状態だからです。

試用期間でも社会保険には加入

試用期間は、採用した人材について会社側が「自社の社員として適性があるかどうか」を見極めるために設定するのが一般的です。

大企業などの場合は、3カ月程度の新人研修期間がこれに該当するケースも少なくありません。

試用期間であっても、雇用契約にともなう医療保険や年金保険、雇用保険や労災保険といった社会保険への加入が義務付けられています。

14日間は即解雇もある

会社側からすると、試用期間は解雇できる権利を保留した状態といえるでしょう。

最初の14日間であれば、解雇予告や通告なしに即解雇できます。

しかし、これを過ぎた場合は正当な理由がない限り、そう簡単には解雇できません。

下記のようなケースでは正当な理由として認められた前例があります。

1.勤務態度が非常に悪く改善の可能性がない
2.正当な理由もなく遅刻や欠勤をくり返す
3.職務履歴などの書類に重大な虚偽の事実があった

試用期間も残業代は出る

試用期間中は正規の給与よりも低い賃金しか支払われないケースも少なくありません。

もしも、就業規則や雇用契約書にこの規定が明記されていれば、従うことが求められます。

しかし、最低賃金を下回るのは違法なので、しっかりチェックすることが大切です。

また、労働基準法に定められた時間外労働に対しては試用期間といえども要求する権利があることを知っておきましょう。

試用期間が延長されることも

就業規則や雇用契約書に規定があれば、当初予定していた試用期間を延長することが認められることがあります。

とはいえ、長くても当初の期間を含めた1年程度になるのが一般的です。

これ以上の延長を求められた場合は、労働局や弁護士などに相談してみると良いでしょう。

試用期間満了後に本採用を見送るのは解雇と同じ

試用期間満了後に「本採用は見送ることになった」などといわれることがあるかもしれませんが、これは違法です。

雇用期間の最初の14日を過ぎたら、通常の解雇と同様の手続きをふまなくてはなりません。

退職における通告ルールとは

退職にかかわる通常の手続きとはどのようなものなのでしょうか。

以下で詳しくみていきます。

会社側から解雇する場合

労働基準法には、会社が労働者を解雇しようとする場合「少なくとも30日前にその予告をするか、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない」と定められています。

労働者側から退職を申し入れる場合

労働者側から退職を申し入れる場合は、退職したいという意思をあらかじめ会社側に通告しなくてはなりません。

このとき、口頭で伝えても法律上は問題ありませんが、あとでトラブルになるのを防ぐため文書などのかたちで証拠を残しておくと安心です。

期間の定めのない雇用契約の場合

正社員など期間の定めのない雇用契約では、基本的に退職の2週間前までに会社に対して退職する意思を伝える必要があります。

また、月給制など一定の期間を定めて給料を支給するような契約になっている場合では、その期間の前半までに通告することが求められています。

期間の定めのある雇用契約の場合

契約社員など期間の定めのある雇用契約を結んでいる場合は、契約期間満了時まで退職できないのが原則です。

一方的に出勤拒否などをすると、賠償金を請求されてしまう可能性も出てきます。

ただし、やむをえない事情があるときは退職が認められるケースもあります。

スムーズに退職したいなら知っておきたいこと

試用期間は長期雇用を前提に設定されるものなので、試用期間中に辞めたいなら原則として「2週間前までに通告する必要がある」と考えておけばよいでしょう。

とはいえ、会社の就業規則で1カ月前までに通告するよう定めているケースもあります。

内容が労働者に不利になる場合は、法律のほうが就業規則よりも優先されるのが原則です。

しかし、スムーズに退職したいなら、就業規則に従うことが大切です。

また、職場の人と顔を合わせにくいからといって、メールだけで済ませようとするのは厳禁。

社会人としてのマナーが疑われてしまいます。

退職の通告は上司に対して行うのが基本です。

忙しい上司の場合は、「お話があります」などといってあらかじめアポイントメントを取っておくと良いでしょう。

試用期間に辞めるメリットとデメリットとは

試用期間に辞めるうえで最も気になるのは、「こんなに短期間に辞めても大丈夫だろうか」ということではないでしょうか。

試用期間で退職することにはメリットとデメリットがあります。

両方のポイントを考慮して、慎重に決断することが大切です。

試用期間に辞めるメリット

試用期間に辞めたくなる理由はさまざまですが、どんな場合も「ストレスがかかっている」状態といえます。

退職の最も大きなメリットは、ストレスから開放されることにあるでしょう。

がまんを続けて心身を病んだり過労死したりしては本末転倒です。

また、新卒で入社した場合なら、第二新卒がねらえるのもメリットです。

第二新卒とは通常卒業後3年以内の人を指し、就職活動で新卒と同様のあつかいが受けられるというもの。

自分に合わない職場で長々とがまんするのではなく、第二新卒として再スタートするのも1つの方法でしょう。

試用期間に辞めるデメリット

一方、最大のデメリットとなるのが、次の就職活動で不利になる可能性があることです。

短期間に仕事を辞めた人に対して抱くイメージは、あまりポジティブなものにならないのが普通です。

「協調性に問題があるのではないか」「忍耐力が不足しているのではないか」などと考えられてしまうこともあるでしょう。

また、雇用保険の履歴に試用期間の記録が残ることもデメリットの1つです。

転職活動で提出する履歴書や職務履歴書には、試用期間について記載する義務はありませんが、会社が調べるとすぐに分かってしまいます。

転職先の会社にまったく事情を説明していない場合、経歴詐称で解雇になる可能性も出てくるため注意が必要です。

就業規則に則っておん便に

日本では人材不足が深刻化しているため、適性を見極めないまま即採用となるケースも増えています。

仕事内容と人材のミスマッチが起きやすくなっているともいえるでしょう。

入社はしてみたものの、試用期間内に辞めたいと思う人は決して珍しくないのです。

一方、「求人内容と実際の労働内容がまったく違う」という場合は違法であり、労働基準法によって退職が認められています。

とはいえ、実際に退職が認められるには証拠が必要となるため、退社する前に客観的な証拠を集めておく必要があるでしょう。

疑問なことがあったら労働局や弁護士に相談してみるのも良い方法です。

どんな場合でも、会社側と裁判になるような状況になると心身の負担が増大しかねません。

できるだけおん便に退職するためには、あらかじめ就業規則や雇用契約書にしっかり目を通しておくことが重要です。

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