体調を崩してしまったのが現職での仕事が原因だという場合には、まずは退職しようと考えるでしょう。
しかし、体調不良で会社を辞めても特にトラブルはないのかと悩む人もいます。
あるいは本音では他の理由で辞めたくてもうまく伝えることができそうもなく、適当な理由を考えている人もいるかもしれません。
体調不良を理由にするときに知っておくと役に立つことを紹介します。
目次
退職理由として体調不良は有用
本音であっても建前であっても、退職理由として体調不良は使いやすくて効果的です。
風邪などのように一過性の病気では退職理由として説得力はありませんが、うつ病や慢性の病気のように長く続くものであれば十分に理由として使えます。
法律的には退職可能
体調が悪いから仕事を辞めたいと言っても、馬鹿者と一蹴されてしまいそうな現場もあるかもしれません。
しかし、体調不良が原因かどうかにかかわらず、労働者が退職する権利は法律によって守られています。
期間の定めがない雇用契約をしている場合には、退職したいという意志を伝えてから14日で退職できると法律で定められているのです。
ただ、上司や同僚などとの関係を悪くしないためにも早めに退職の意志を伝えておくのはマナーでしょう。
一般的には30日前には申し出て欲しいと考えられています。
いなくなってしまう自分の穴を埋める人材を探したり、今まで行ってきた仕事の引き継ぎをしたりするには一ヶ月くらいはかかってしまうからです。
雇用契約期間が定められているときには注意
契約社員などのように期間の定めが設けられている雇用契約をしている場合には体調不良を理由にしてもすぐには退職できない可能性があります。
あくまで法的に守られているのは雇用期間の定めがない場合だけだからです。
契約社員などの場合には原則として期間が満了しない限りは辞められない契約になっています。
ただし、契約の中に解約に関する項目が設けられていて、どのような条件で退職が可能かが記載されているでしょう。
その内容を確認して辞められるかどうかを判断するのが賢明です。
引き止めにあっても対策になる
現実的には退職の意志を伝えてもすぐに納得してもらえないことがよくあります。
退職届は直属の上司に提出するのが原則ですが、自分をよく知っている人だからこそいなくなって欲しくないという気持ちを持つことが多く、何とかして引き留めようとする傾向があるのです。
引き止めにあってしまっていくら説得しても話が進まず、いつまでも退職できないという状況に陥る場合もあります。
しかし、その対策として体調不良を訴えるのは効果的なので、引き止めにあったときの対策としても活用してみましょう。
なぜ引き止めへの対策にできるのでしょうか。
体調が悪いのに仕事を強要するのは憚られるから
日本人は情に弱いという話がありますが、体調が悪い人を無理に働かせるのは上司としても憚られるはずです。
会社としては体調が多少悪くても働かせることができるのは事実です。
しかし、それが原因でさらに状態が深刻になってしまうと労災問題が発生することにもつながります。
体調不良はそれなら仕方ないという形で話がまとまりやすい理由なのです。
内容によっては見た目ではわからないから
体調が悪いのは見た目ではわからないことも多いので、退職の意志を伝えるときに使いやすい理由だというのも確かです。
うつ病や胃痛、頭痛などを訴えたとしても外から見てわかるわけではありません。
睡眠障害も夜に眠っている姿を見ない限りは確実な判断はできないでしょう。
だからこそ、そんな嘘で辞めるなんて言うなといった形で引き止めることはできないのです。
もし疑われてしまったとしても、本当に体調が悪いのなら医師の診断書を用意することもできます。
本人の意識として仕事が体調を改善できない原因の一つだと考えているのなら、上司としても諦めざるを得ないと思ってくれるでしょう。
参考:体調不良で退職するときの伝え方は?体調不良の度合いが伝われば退職できる!
本当に体調不良で退職するなら
仕事が原因で本当に体調を崩してしまって退職しようと考えているときには予め知っておくと良いことがあります。
体調を改善することが最優先ですが、その後の生活についても考慮して、これからどんな生活をしていくべきかを考えてみましょう。
まずは傷病手当金を検討しよう
仕事ができなくなってしまった人のための制度があるので、退職する前にまずは検討してみましょう。
傷病手当金は病気や怪我で働けなくなってしまった人が生活に困らないように給付されるものです。
連続して三日以上、合計で四日以上休み、その間は欠勤になって無給扱いにされてしまっているときに使えます。
医師の診断書などを用意しなければならない大変さはありますが、支給してもらえる金額も大きく、最長で一年六ヶ月も手当を受けられるので申請を忘れないようにしましょう。
ただし、客観的に見て働けない状況の場合にのみ適用できる制度なので、軽度の体調不良の場合には使えない可能性もあります。
医師の判断による影響が大きいので十分に相談してみることが大切です。
転職活動を始める前に失業保険の手続きをしよう
退職してから転職活動をしていれば、ハローワークで手続きをするだけで失業保険を受け取ることができます。
給付を受けられるのは原則として一年間ですが、体調不良が原因の場合には治療にそれ以上の期間がかかってしまうこともあるでしょう。
その際には失業保険の延長手続きをすれば問題ありません。
状況に応じて最長で三年まで期間を延長することができるので、治療に専念してから求職活動を始められます。
治療を続けながら転職の方向性を決めよう
体調不良で転職するときには同じような状況に陥らないようにすることが必須です。
何が原因で体調を崩していたのかをまずは考えてみましょう。
ストレスの原因が明確になれば、避けておくべき仕事や望ましい仕事がわかってきます。
治療をしている間にどんな方向性で転職するのかをゆっくりと考え、転職後は仕事と良い関係を作れるようにするのが肝心です。
転職先での退職理由にも使えるか
体調不良という退職理由は転職活動の時にも使えるかという疑問を抱く人もいるでしょう。
結論から言えば、あまり好ましくない退職理由なので別の理由を考えて伝えた方が無難です。
会社としては雇用したらできるだけ長く働いてもらいたいと考えているのが一般的です。
体調不良で退職した経歴があるとなると、同じようにしてすぐに退職されてしまうリスクがあります。
本当に欲しい人材ならそれでも採用してくれる可能性はありますが、有利になれる退職理由ではないので注意しましょう。
それよりももっと前向きに新しい職場で働きたいという気持ちを伝えるのが転職のときには効果的です。
ただし、空白期間がある場合には理由を尋ねられる可能性があります。
その際には正直に体調を崩してきたと言うのが賢明でしょう。
体調不良を理由に退職して前向きに転職しよう
退職するときにどんな理由を伝えたら良いかで悩む人は多いですが、体調不良はとても便利な理由の一つです。
本当に体調が悪くて辞めるときだけでなく、建前の理由を考えなければならないときにも重要な候補になります。
体調を崩して退職を検討する場合には傷病手当金を受け取ったり、失業保険を延長して使うことも検討すると良いでしょう。
そして、体調が万全になったところで前向きな姿勢で転職活動を行うのが大切です。
転職先に伝える退職理由はこれから新しい職場で働くことへの意欲を示すものの方が理想的なので、体調とは切り離して魅力的な理由を考えておきましょう。